急性期リハビリテーション
急性期リハビリテーションとは、発症からできる限り早い段階で行われるリハビリテーションであり、なるべく患者さんを元の状態に戻すことを目的としたものです。
アメリカの心疾患運動療法に関するガイドラインでも、心機能の改善には、運動療法が非常に効果的であることが示されているように、欧米や日本の一部では、すでにこういった取り組みがなされており、心臓や大きな開腹手術後も、人工呼吸器をつけたまま歩行訓練をするなど、手術の効果を最大限にするための試みがなされており、多くの患者さんで効果がみられています。
廃用性症候群にならない為に
私たちの手足や体幹の筋力は、日々の生活を普段通りに継続することで維持されています。 しかし、健常者が病気になり数日間ベッド上で起きることなく寝た状態が続くと、手足の筋力は急速に衰え、関節の動きも固くなり、場合によっては、心機能や肺機能など全身臓器の機能も低下します。 長期臥床により生じる、こういった筋力の低下や内臓機能の低下を、廃用性症候群disuse syndromeと呼んでいます。
特に高齢の方は、肺炎や心不全の治療でベッド上安静が長くなると、心機能や肺機能が低下し、歩けなくなるだけでなく、病気になる前はできていた食事や座位もできなくなる危険性が非常に高くなります。 ただ寝ているだけ、ということ自体が病気の予後に大きく影響するということです。
病気は治ったのに食べることができない、起き上がることができないとなると、点滴や経管栄養(胃瘻も含む)が必要となり、いわゆる寝たきり状態となり、元の生活に戻ることが困難となります。
早期リハビリテーションの提供
入院後早い時期から身体機能を低下させないようにベッドサイドより身体状態の観察を行いながらリハビリテーションを開始します。
ただ、患者さんによっては、全身状態が十分に安定していない場合が多いため、例えリハビリを行わなくても、様々な合併症を引き起こす可能性があり、リハビリを行う場合においても、血圧や呼吸状態などを十分監視する、といったリスク管理が必要となります。 中には、酸素や点滴をした状態で、座位の練習や食事の訓練を行う方もいますが、病気になった直後や手術直後などの病状をみて、医師・看護師を始め様々な職種と連携をとりながら、リハビリの開始時期を設定し、患者さんの状態に合わせつつも、なるべく入院前の状態に戻せるよう関わっていきます。